「自分のギャラリーが夢だった」


20代のころ、ヒッピーのよく集まる新宿の風月堂がスタートだった。中学3年のころ、好んで描いたのは、夜の月明かりの風景ばかり。今思うと「ルドン」の世界だったかも。

ある日古本屋で見たゴッホの画集に驚いた。・・・その中の一枚、炎のような糸杉とギラギラの星。「これは何だ!」・・・思わず叫んだ。あの時のショックは今も残っている。

それから20歳くらいフーテンのトラさんのようになっちゃた!!風月堂は私の世界を大きく変えた。ランボーに酔い、サルトルに酔い、ボードレルに酔い、みんな何かに酔っていた。僕はなぜか!ペルシャの詩人「ルバイヤート・オマムハイヤーム」にはまった。今も世界中を素足の放浪者として、20ヶ国以上ひたすら歩いた。南仏アルルもゴッホの様に、セザンヌのサントピクトワール山も行った。絵は一枚も描かなかった。”どうして” ― それは肌で感じるだけでいいと。

豪一